ささいなこ

短歌や詩、日常のささいな物語を綴ります。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「喰うなよ」

灯さない 暗がりの 気配を消す 獣の声 どちらの道を選ぶ? こっちへおいで あっちへおいで うっすらと微笑み 目は光る 喰ってもいいよ でも 君のほうが後悔するよ? 見えない獣は 怖くない 怖いのは 目の前にした人間だけさ

「気をつけて」

あら渡り鳥の鳴く声かしら いいえ僕の風邪の声です

「思い出し優しさ」

突如なびく あなたの優しさに まだどうも 慣れていません

「守られてる」

階段を降りて ハラハラと上着は 風になびく 一段一段 駆け上がる背に 頼りないカラダが わたしを守っている

「一寸の先

満ちる 触れられぬ 光 欠ける 本来の 影 誰にも見せることのない 完全な姿

「ミリバール」

宇宙飛行士になって 地球をぐるっと 一周したら 小さくなっていくのかしら あなたとの気圧の関係

「きかない」

にこにこにっこりおにぎり屋の 異常な数の 効き過ぎる酢飯

「水の存在」

この部屋にいた 昨日までいた人へ 感じている この悲しみを わたしはぜんぶ 流したはずなのに コップに入った水が 飲んで飲んでも いつまでも減らない 噴水のような 異様な貯水湖みたく いつまでも 溜まった水 飲み干すことはできず 苦しみで溺れる 永遠に流…

「深いの」

今日明日とまた 会えるなら 底なし沼の 少女でありたい

「めざまし」

唐突にくれる とうとつな言葉に めざめる 朝もあります 是是

「耳たぶに青い華」

青くてまるい 透明な女の子 ねぇ 透けた先に なにが見えるの? それは 君の世界 今はまだ 透けてみえない そのさきの青い華

「天体観測」

夜の空にきらめく 月と 星と あなたを 指でなぞって つなげたら あら 不思議 愛の大三角形

「変化球」

パシっ パシっ 思い出のボールを交わす 「ちっとも変わってないね」 だから私は嬉しくって おもいっきり あなたに ある日の記念ボールを投げた パシっ 「本当に君はちっとも変わってないや」 フッと笑った あなたの横顔 ポト ポトトン あの時と同じ横顔と あ…

「世間をこぎます」

歩く私のスピードに 追いつけなくなりました なので 道の端にくぐりつけた自転車に乗ったのです 車輪を動かし 足の力をペダルへと流し でも自分のだしたスピードで気分は悪くなりました もう一度 もとにあった場所へ自転車をくくり 歩く私のスピードで 世間…