ささいなこ

短歌や詩、日常のささいな物語を綴ります。

「もうきっと遅いだろう」と何度も言い
「遅かった」とあの人は言った
芯の切れたシャーペンを何度もノックし
書いてもない便箋に消しゴムの跡を残す

書き表せたのか この悲しみは
残るのは消しゴムのカスと跡と崩れて詰まった使えんシャーペン
それと父であっただろう骨と生活の後

「もう遅かった」と何度も言い
「少し寝よう」とあなたは言った